最高裁判所第一小法廷 昭和24年(れ)614号 判決 1949年8月18日
主文
本件各上告を棄却する。
理由
各被告人弁護人柴田元一上告趣意第二点について。
記録によると、原審公判廷において原審相被告人蒲谷長次郎の弁護人から同人のために証人阿部政夫及び佐々木善平の喚問申請がなされたこと、それにも拘わらず、原審がその採否の決定をなすことなく弁論を終結して判決の言渡をなしたことは、論旨の指摘する通りである。そしてこの原審の手続が違法であることは多言を要しないところではあるが、右証人申請が如何なる立証事項につきなされたものであるかは記録上明らかでなく、仮りに所論のような事項であったとしても右証拠申請は原審相被告人蒲谷長次郎のためになされたものであり、被告人等には何等関係なきところであるから所論の違法は上告人等の判決には影響なきものといわざるを得ない。論旨は理由がない。(その他の判決理由は省略する。)
よって旧刑訴第四四六條に從い主文の通り判決する。
この判決は裁判官全員の一致した意見である。
(裁判長裁判官 岩松三郎 裁判官 沢田竹治郎 裁判官 真野 毅 裁判官 斎藤悠輔)